2017年7月31日月曜日

黒い夏(7月の歌)

鄙を出て都で母に似た人と出会い抱き合う 夢はまぼろし

芸神となりし産土 からからに乾きし町の「寿」に立つ

「その男、きょうぼうにつき」と声に出し「たけしの映画」と続けキョロキョロ

「妹北(いもときた)」信号を見て喉渇き冷えたカルピス思い起こせし

(妹北……滋賀県東近江市妹町にある信号機の表示)

此処(ここ)でない彼処(あそこ)に行けば見えるはず 堕ちて花咲く裸の自分

剥き出しのままに生きてる自分には 過去の写真(しあわせ)残酷である

★          ★

民の声聞かず高飛車愚者の王 少年棋士の知性に学べ

★          ★

<江戸の春画>

着物着て絡まる男女まぐわいの秘所は鮮明 黒べたはなく

<昭和のエロ本>

黒べたの下に男の桃源郷 墨塗る前を見れば赤面

<平成の秘め事>

黒べたの下に男の悪だくみ 修正前を見れば明白

年の瀬の歌 2018

「ちょっとだけ」友は私に後悔と思い出残し黄泉に向かった       ★「月蝕歌劇団」主宰 高取英逝去 寺山の劇魂(こころ)を身体に沁み込ませ過激に疾走(はし)り劇魔昇天 博識の劇王描く幻惑の史劇いつしか詩劇になりき 知行するときの心得花房に 死してその名の...