2018年4月30日月曜日

望郷の詩

まがいものなれど舞台に身を置けば腹から声出て 役者の如し

伊勢の津の阿漕の平治穢土の地で「我をさばけ」と警世の劇

生きていることが問われている時代それに気づいて我いま 生きる

見得切った看板役者も裏こなす 人力回転スライド舞台

落ちる水光当たって虹浮かぶ暗黒幻想芝居の見せ場

千穐楽終われば劇場〈こや〉も消えてゆく流れ徒党の外連味(けれんみ)なりき

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産土に感謝し友を郷(さと)に呼び我も歌舞いて「望郷」の詩

逃郷し都で鄙を望郷し帰郷して知る郷の温温(ぬくぬく)

故郷を捨てて都で生き延びて「ふるさとおばけ」となりて墓背負(しょ)う

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鄙の地にシェイクスピアの劇来たり「きれいはきたないきたないはきれい」劇場(こや)に轟く

時を経て年を重ねて機は熟しシニア劇団芸濃い町へ

老いらくの宝塚ふう新歌劇 我が鄙の地に舞い降り踊る

年の瀬の歌 2018

「ちょっとだけ」友は私に後悔と思い出残し黄泉に向かった       ★「月蝕歌劇団」主宰 高取英逝去 寺山の劇魂(こころ)を身体に沁み込ませ過激に疾走(はし)り劇魔昇天 博識の劇王描く幻惑の史劇いつしか詩劇になりき 知行するときの心得花房に 死してその名の...