まがいものなれど舞台に身を置けば腹から声出て 役者の如し
伊勢の津の阿漕の平治穢土の地で「我をさばけ」と警世の劇
生きていることが問われている時代それに気づいて我いま 生きる
見得切った看板役者も裏こなす 人力回転スライド舞台
落ちる水光当たって虹浮かぶ暗黒幻想芝居の見せ場
千穐楽終われば劇場〈こや〉も消えてゆく流れ徒党の外連味(けれんみ)なりき
★ ★
産土に感謝し友を郷(さと)に呼び我も歌舞いて「望郷」の詩
逃郷し都で鄙を望郷し帰郷して知る郷の温温(ぬくぬく)
故郷を捨てて都で生き延びて「ふるさとおばけ」となりて墓背負(しょ)う
★ ★
鄙の地にシェイクスピアの劇来たり「きれいはきたないきたないはきれい」劇場(こや)に轟く
時を経て年を重ねて機は熟しシニア劇団芸濃い町へ
老いらくの宝塚ふう新歌劇 我が鄙の地に舞い降り踊る